大月キリスト教学園

理事長 渡 邊 茂

 

私たちは、幼稚園における教育が、『家庭教育→幼稚園教育→小学校教育』という流れの中に位置づけられていることを踏まえ、三者が切り離されて単独で行われるのではなく、連続性を確保しながら、計画的に展開されなければならないと考えています。

0~2歳の段階は、十分な愛情と温もりに包まれた家族への依存によってその心身の成長・発達が図られますが、3歳前後になりますと、その行動範囲の広がりに伴って、同年代の仲間の存在に関心を示すようになります。

家族への依存の段階から仲間との衝突や共感、仲間からの刺激を求める段階へと移行していきます。つまり、集団生活に おける仲間関係を通して飛躍的に成長・発達する段階へと引き継がれて行くのです。

その受け皿としての役割が幼稚園に求められているのではないかと考えています。 それと同時に幼稚園に求められることは、受け入れた幼児たちをどのように小学校に送り出したらよいかということです。 幼稚園でどのような体験をさせ、どんな力を身に付けて小学校教育に繋げていったらよいのかということが、もう一つの大きな役割として幼稚園に課せられています。

最近の母親への調査で、"どんな子どもに育って欲しいか?″という問い掛けに"思いやりのある子ども″と回答した母親が最も多数を占めました。"思いやり″とは、「自分のことと同じように、お友達のことにも心を寄せられる」ということだと思いますが、そのためには、一人ひとりの子どもの内面に、他者を意識し、他者の思いに立って自らの気持ちをコントロールすることができる力が芽生えることが必要になってきます。

園では、同年代の仲間の存在に関心を持ち始め、他者の存在を認識し始めるとされる3歳から6歳という時期こそ、そのことを育むのに絶好の時期であると捉え、仲間との関わり合いに重点を置き、仲間との葛藤体験や共感体験を重視しながら、保育の展開を図っているところです。そして、こうして育まれた内面の育ちが、仲間と共通の目標に向かって共に力を発揮し合うとする協同性の芽生えに繋がっていくのではないかと考えています。

家庭教育を引き継ぎ、小学校教育へと繋げることを通して、児童憲章に謳われている標記の願いが一人一人に確実に培われることを目指し、幼児期に相応しい発達が確保されるよう、日々の教育を展開しているところであります。保護者の方々と連携をとりながら、愛しい幼子の未来をともに支えてまいりたいと願っています。